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『わたしたちは生きて、塵』参加アーティスト特別対談①酒井幸菜×西井夕紀子(音楽)

Dust as we are, still alive
酒井幸菜新作ダンス公演『わたしたちは生きて、塵』参加アーティスト特別対談

急な坂スタジオ・サポートアーティストの酒井幸菜(振付家・ダンサー)。2年ぶりの新作となる『わたしたちは生きて、塵』では、多様なジャンルの若手アーティストと作品づくりに取り組んでいます。その創作過程の裏側に迫るべく、今回はスタッフの皆さんとの特別対談をお届けします。

トップバッターは、音楽を担当していただく、西井夕紀子さん!
今回、西井さんには『わたしたちは生きて、塵』へM2,M3,M4,M5,M7,M8の楽曲をご提供いただきました。(6/19追記)
お互いのこと・創作することについて、語っていただきました!

目次
参加者プロフィール

西井夕紀子

Yukiko Nishii

2007年『アトミック・サバイバー ワーニャの子どもたち』で阿部初美氏演出作品に曲を提供、2011年中野成樹+フランケンズ『ザ・マッチメーカー』でピアノを演奏するなど舞台芸術に音楽家として関わる一方で、2005年よりアーティストや専門家らのゆるやかな輪でこどもたちと過ごす《もび》を主宰。小学校公演を共にしたガールズパンクバンドFALSETTOSに2010年より参加、他ミュージシャンともライブ、レコーディングで共演。音楽の生成を、はなれた場、人同士の出会いから模索している。

もび http://mobi.moo.jp/new/
FALSETTOS http://www.myspace.com/falsettosjapan

酒井幸菜(振付家・ダンサー)

Yukina Sakai

1985年神奈川県茅ケ崎市生まれ。5歳よりモダンダンスを学び、学生時代から創作活動を始める。東京芸術大学音楽環境創造科卒業。 しなやかな身体を最大限に活かした丁寧で繊細な表現が、多くの振付家から評価を受け、様々な作品に出演している。タイの漫画家ウィスット・ポンミニットとの異色の舞台『ダマンガス!!』を始め、音楽家や建築家、美術家など、他ジャンルのアーティストとの共同制作を通し、演出家として緻密な空間構成をする才能を開花させた。自身の創作活動は、2007年よりコンスタントに発表し続けており、美術館や小劇場、大理石造りのホールなど、様々な会場を見事に自分自身の空間へと変化させてきた。

また、演劇作品や広告、ミュージックビデオへの振付・出演、バックブランド<マザーハウス>のイメージキャラクター、EMI ROCKS 2012で披露され大きな話題となった清 竜人のステージの演出・振付を手掛けるなど、幅広く活動を展開している。
2011年、第60回神奈川県文化賞未来賞を受賞。

sakaiyukina official website http://www.sakaiyukina.net/

Topic-1 【出会い】まずは、お二人の出会いをうかがいました。
taidan_nishii
【出会い】まずは、お二人の出会いをうかがいました。

酒井幸菜(以下、酒井)  大学入ってからなので・・・

西井夕紀子(以下、西井)  十年は、経っていないかな?

酒井  ゆっきー(西井さん)は2つ上になるのか。1期生だもんね。

西井  そうです。

酒井  在学中はあんまり接点なかったですよね?

西井  私の一番最初のイメージは、取手駅が、校舎からすごい遠くて、バスに乗っていかなきゃいけないんだけど、そこに乗っていた姿がとてもかわいかった。『酒井さん、かわいいな』って。そのとき、靴下をはいてて、すごいかわいいなって思ったの。(笑)

酒井  すごい第一印象だね!

西井  バスの中の印象だけがすごい残ってるんです。

酒井  それはなんか嬉しい。

(急な坂スタッフ)  初めて、学内で一緒に作業したのは?

酒井  プロジェクトのボムソングのリーディング※注1で、あれが私が2年生で西井さんが4年生だったんですね。

西井  そうです。

酒井  そこで一緒に何かをやりはじめて。

西井  あのときもね、なんかわけわかんないまま、始まって・・・そんなに話したって感じはなかったね。

酒井  そう、ないない。あれってディレクションは誰がしてたんだっけ?

西井  阿部初美さん?

酒井  確か、すごくみんなで集まって、話し合いをして、誰がどこを読むっていうのを決めた。阿部さんにディレクションしてもらったというよりも、みんなでやってたよね。。

西井  読んだんだよね?

酒井  『チッチッ』って言ったよ。

西井  私、踊ってるところしか覚えてない。

酒井  井手さんの?

西井  井手さんので、ヘアバンドをくしゃくしゃってして、ぽいってやってた。とかしか 覚えてない。同じゼミではなかったから、ちょこちょこっとした関わりでしたね、学生のときは。

※注1 リーディング:文章を音読することによって行われる演劇

Topic-2 『もび』の活動と口を開けない酒井幸菜
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もび こどものための、もちはこびパフォーマンス『ダンスたんすタンツェパンツ―ことばをおどろう、おんがくをしゃべろう―』 川崎市アートセンター コラボレーションスペース(川崎/2008年5月) 撮影:三上亮

『もび』の活動と口を開けない酒井幸菜

酒井  いろいろやるようになったのは『もび』※注2に呼んでいただいたのが最初?

西井  そうですね。私が大学院出てすぐの5月で、川崎市アートセンターで子どものイベントがあって、卒業後、初めての作品というかパフォーマンスで、しかもダンサーさんに入ってもらうのも最初でした。私は、ダンサーといえば、幸菜ちゃんしか知らないので、『幸菜さんにお願いします』っていう感じで頼んでね。

酒井  そうだね。その時は私は表現※注3と一緒にやっていたのかな?だからすんなり入れたのかもね。

西井  そうだね。

酒井  うん、絶対そう。じゃないと、あんなにすんなり入って行けなかった。卒制で表現と一緒にやって、表現のメンバーがもびのメンバーにいたから、

西井  そうそう、私からしても幸菜ちゃんは学校の中でも抜きんでて学外で活動していたという印象があったので、けっこうがんばって頼んだ。でも、共通の知り合いもいたから、すっと引き受けてくれて、音楽も半ば同志的な感じで。

酒井  その時参加した印象は、それまで自分で振付けて踊ることが多かったんだけど、もびに参加したことによって、「こういうことをやってほしい」って言われて、それに対して、自分で動きを返さないといけないっていうのが、すごく面白かった。

西井  へえー、よかった!楽しんでくれてたんだ。

酒井  うん、新しい引き出しを開けてもらっている感じがしていて、俳優さんがいたか ら、その人の擬音語に合わせて動いてくれって、いうのがあったと思うんだ、あれが面白かったですね。

西井  もびの中では、違う道具を持った人を集めて、その道具を交換し合うみたいなことをやっていて、ある意味でみんなをフラットにしていって、その中ででてきた違いみたいなものだけを残していくとか、そういうキャッチボールをできるだけ丁寧にやっていこうっていうのがあって、そこに初めて身体っていうところに特化している人に来てもらって・・・私にとっても挑戦だった。一緒にやっていても、今まで知っていた幸菜ちゃんじゃないみたいな。

酒井  私は持ち道具がそんなに多くないし我が強いから、いろいろあったね。

西井  いろいろお願いしました。とにかく美しく踊る人なので、一番印象的だったのは、口を開けないっていうこと。

酒井  そうそう。

西井  口を閉じて踊るんですよ。顔がいつもきまっていて

酒井  キメ顔(笑)それは言われてから気がついたんですよ。口で呼吸をちゃんとしてなかったんですよね。

西井  そう、顔を真っ赤にしてるんだけど、顔の容は美しくきまってるんです。

酒井  顔をきめてるっていうつもりは全然ないんだけど、

西井  そう、ないんだよね

酒井  今もそうなんですけど、力がぐっと入っちゃうんですよね。最近やっと抜けてきたんだと思うんだけど、やっぱり、私生活にしてもなんにしても、ぐーってなっちゃってて。「幸菜ちゃん口閉じてるよ」って言われたのは、今までいわれたことがなかったから、すごい発見で今大きく役立っているんです。

西井  それはよかった。もうとにかく「幸菜ちゃんのちょっとダサいとこ見たい」みたい な欲求もありつつ、いい意味ですごいプライドもある人なので、そこもリスペクトしつつ、いい具合で崩れて、表現が混じっていかないかなっていう挑戦でした。私にとっては。

酒井  どこまでできたかはわからないけれど、そのダサい感じとか、キメてない崩れちゃった、さらけ出ちゃうところを見たいんだろうなっていうことはゆっきーのディレクションからも感じていたし、私も気張って踊るっていうよりも、引き出しを開けてもらっていることに対して自分も挑戦しなくちゃっていうのがあって。それができる受け皿がもびにはあるっていうか、「ここで変顔しても、この人達なら大丈夫」っていう安心感というか信頼がありました。それでも頑なに守っている部分はあるんですけどね。

西井  うん、ありましたね。そこに美意識とかも残りつつ、だけどやっぱり俳優の言葉に動かされてもらう作業をして。

酒井  またやってみたい。今やったら違うと思う。変なプライドが消えてると思う。

西井  ぜひ。全然違うだろうね。

※注2 もび: 2005年、こどもの生活する場所にパフォーマンスを届けるため始められた活動。主宰の西井夕紀子が、音楽家、俳優、ダンサー、詩人、美術家らを迎え、学校や文化施設、託児スペースなどに赴く。
※注3 表現:様々な地域、時代の音楽を身体に落とし込み、深い欲求に従ったプリミティヴなポップミュージックを模索するバンド。メンバーの中には、もびの参加者も含む。

Topic-3 『作品をつくる』ということ
 
taidan_nishii
急な坂ワークショップVol.9 もび『パフォーマンスにふれる』 急な坂スタジオ(横浜/2011年1月) 撮影:須藤崇規
『作品をつくる』ということ

西井  作品をつくりたくて、私が全部仕切れるわけではないんだけれど、それこそ自分が持っていない道具を出してもらって、一緒に作業することをやりたくて、ぜひ、またお願いします。

酒井 ゆっきーの場合は音楽のひとにしても、何にしても、さっきフラットって言っていたけれど、すごい任せている感じ、でもちゃんと抽出してワークショップの構成にまとめていくっていうのはすごいなって思って見ていました。

西井  ありがとうございます。

酒井 それが私はなかなかできないんです。今もすごい悩んでるんですけど。

西井  私もなんです。任せているのは私もで、主宰しているけどみんなに任せていて、できないことが多いから、すごく。「できない」っていうのが大きくて、キーワードで。自分のイメージ以上のものを、その人から引き出したり、、逆に自分が引き出してもらって『はっ』となることがすごい好きで、なので、また一緒にやりたいです。

酒井 今回の作品は2年ぶりなんだけど、ゆっきーに自分の作品の音楽をお願いしたのは初めてで。

西井  とっても嬉しかったです。涙がでるほど嬉しくて。

酒井 最初の意気込みは、、『構成もしっかり立てて、ここでこういう音楽をお願いしたい!』だったの。お願いするにあたっては、全部丸投げしちゃうと、ぼやっとしちゃうからある程度枠は用意しとかなきゃいけないって思っていて、そうしたんだけど・・・結局ダンサーが初めてご一緒する人たちもいて、顔合わせをしたり、自分で見てはいたつもりだったけれど、実際に作品に落とし込むなると、状況がかわってきて、ずっと構成とかどうまとめていくかって悩んでしまったのね。それで、ゆっきーには一回つくってもらって、稽古も見にきてもらったんだけど、あんまり生産的な話ができず、ぼやーんとしてしまった。でも稽古に来てくれたときに、『なんとなく素材を用意しておくね』っていう風に言ってくれて、すそ野を広げていけるような素材を用意してくれるというようなことで少し可能性がひろがったっていうか。これからシーンがつながっていくんだけれど、それでゆっきーの感じた音とかみえた音っていうのをある意味提案してもらったらいいなっていうのを、ゆるやかに進めようかなって思ってます。

西井  私もそのつもりまんまんになっちゃって、今回大分ミュージシャンに声をかけていて、実は。声をかけたら私も幸菜ちゃんと一緒で「これこれこういうことがしたいからお願いします」みたいな感じで言ったんだけど、そしたらやっぱりミュージシャンから、「本番に向けて進化したい」って、「音を進化させたい」っていうすごい熱い返事があって、「こういうものでレコーディングするから一日だけ来て下さい」みたいなやり方じゃなくて、稽古場も観たいし、会いたいし、どういう動きか知ってから音を出したいって言って。

酒井 あー、それはすごい嬉しい!

西井  だからすごいほっとしていて。私がそうじゃないと音をつくれないタイプで、本番の直前までさわっちゃうんです、何かしら。それで、音響の方とかいらいらしちゃってた。(笑)「完パケはまだですか?」っていらいらさせちゃうんだけど、ダンス自体が本番に向かって一秒たりともたゆまぬ変化を続けて行くものだから、それを見てるとどうしても真剣にやるとそうなってっちゃう。それでまたそれを共有できるミュージシャンと一緒にいれるのは幸せだなと。今回、まだまだこれからなんだけど、とりあえず一緒にやるメンバーは集めたので、楽しみにしていてください。

酒井 ありがとうございます。楽しみ!ほんとに。初めてだったから、ちゃんと話をできないといけないってちょっと気負ってたのね。

西井  そう、それはすごい最初の話し合いで思った。でも、たぶんこれはいま仮説の階段をつくってくれてたんだ。でも、ここじゃないところで最終的に成立するんだなっていう風に思ったし、そうじゃないと私は呼んでもらったのに意味がないと思って。

酒井 最初に渡した構成表とか、あの時話したことが、完成形というわけでは私の中ではもちろんなかったんだけれど、私もいろいろ出てくるのが遅いから、制作的に逆算して間に合わないんじゃないかっていうような焦りがお互いにあるとよくないというか、音楽とか他の部分で思ったりしていたから、ある枠を、そこからはみ出したり崩れたりしていくにしても、何か最初自分の今思っているものを出して、「たたき台」ってやつかな?それは必要だなって思って。それをたたき割って進んでいけたらなと。

西井  わかりました。演奏家はやっぱり演奏する人なので、ダンサーさんたちと一緒で本番ステージに乗ることが誠実な向き合い方としてある人がいて、今回頼んだ人の中にも、「生演奏じゃないんですか?」という話もあったんだけど、今回は録音にした理由とかありますか?

酒井 単純に舞台上にダンサー以外の身体を置きたくなかったっていうのはあって、でももしかしたら見えない所だったら有りかもしれない。客席の後ろからとか。今回、音響さんとも話したいんだけれど、舞台って前から鳴っているっていう印象がどうしても強いので、後ろから鳴っているっていう印象ってつくれないのかなと思って。今回(客席が)L字型だし、音楽に関しては<音の在り処>が視覚的に見えないようにしたくて、空気のように漂っていてほしいなと思っていて、サラウンドじゃないけれど、(前からの)圧力よりも、巻き込まれていくようにできたらいいなって思っていて。

西井  たぶん、相談すればやってくれるんじゃないかな。(※この後の打合せで、音響の星のさんが、笑顔で『なんとかします。』とおっしゃってくださいました!)

酒井 全然音響的なテクニカルはよくわからないけれど。

Topic-4 『幸菜ちゃん大好き!』と『場所の亡霊』
 
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『In her,F major』 LIFT(東京/2010年10月) 撮影:相川健一
『幸菜ちゃん大好き!』と『場所の亡霊』

酒井 ゆっきーに今回お願いしますってお話をして、ご快諾いただいたときに「幸菜ちゃんの好きな映画とか影響を受けた映画を教えてください」って言われて、それで私、何を書いたか…タルコフスキーの『ノスタルジア』と『ポーラX』と…

西井  なんかいっぱい、日本の人もあった。『悪人』とか。

酒井 そう、いっぱい挙げて、観てなくても全然いいんだけれどどうだったかを、その意図と意味を教えてほしいなと。

西井  幸菜ちゃんの作品としては、ポジショニングの話なんですけど、フレームの中を構成するようなイメージが強くて。映画にすごい影響をうけてそうだなという印象があったので聞いてみたんです。

酒井 ずばりです。

西井  ずばりそんな感じです。それで、ツタヤに探しに行ったんだけど、どれもなくて。

酒井 え、本当?

西井  うちの近くのツタヤだったからかもしれないけどすごい悲しい結果でした。すみません、ちゃんと見れてなくて。

酒井 それじゃあ、私が史上最高に好き美しいと思っている『ノスタルジア』は今度貸します。

西井  貸して下さい!それだけは観たいとおもっていて。なんとか。お願いします。

酒井 フレーミングはそうだね。

西井  それは幸菜ちゃんが自分で踊っているときの印象とは違って、作品ていうのと踊るっていうのは私の中で分かれていて、幸菜ちゃんは。

酒井 すごい!私より私のことをわかってる!

西井  だって大好きだもん(笑)幸菜ちゃんが踊る時は、幸菜ちゃんは「場所の亡霊」になるっていうイメージがすごいあって、どんな会場でも、その場所の全部を、後ろも下も上も全部目を持っていて、それを一身に受けてばって身体で出て行くから、そこにいる地縛霊だって勝手にイメージがあって、踊るときには。同じ踊るでも、二つの幸菜ちゃんの居方があるなって、だから自分で作った作品に出るっていうのはまたちょっと特別なものがあるなって思ってます。

酒井 いまの、的確、明確。自分が踊る時とつくる時は違うし、場所の亡霊って言われてもそうだなとは思った。作品をつくるときはフレーミングだったり配置っていうのはすごく大事で、今回ももちろん肉体的な部分にも触れるんだけれど、あの武骨な空間にどう配置していくと色気が出るのかとかいうのは考えてますね。

Topic-5 『今回の作品の見所は?』
 
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 『今回の作品の見所は?』

西井  やっぱり今回は身体があるっていうことが大事なポイントになってきますね。

酒井 そう、美術を組まないのでダンサーの身体と光で空間を成立させたいです、視覚的部分で。今までは、視覚的にミュージシャンの身体っていうのはすごく面白いと思って、ライブとか卒制もそうなんですけど、実際に舞台上で生演奏して、その身体も大事って彼らに伝えていたし、表現のライブで踊る時も、私も演奏者と同じくらいの立ち位置で立たせてもらうっていうか、もちろん私の踊るスペースはあるんだけれど、そのバックバンドだとか、お立ち台があるとかそういうことではない、もっと同じラインにいる状態でやらせてもらえるから表現とやるのは面白いんだけど、今回はその身体自体は見せず、ダンサーの身体と光でみせる。ただ、音の質感だとかは生でそこで出すみたいな可能性っていうのは、全く否定できないです。

西井  考えましょう。

酒井 6人のダンサー以外の何かが介入するっていうのは、身体の質的にはしたくない。ある意味私の作品の特徴でもあるけれど、閉じている世界というか、隔離されているというとおかしいけれど、舞台はなんでもそうだけど、客席と地続きじゃない、ライブとかは違うけれど、幻想的な空間をつくりだしたいっていうのがあって。今回の作品はちょっとちがってダンサーの身体しかないっていうのがある。楽屋から聞こえてくるとかね。

西井  どうだろうねー。

酒井 ダンサーがたたくっていうのはどうだろう。

西井  ひとまず、今そのくらい熱意をもってくれているという感じです。

酒井 本当に嬉しい限りです。どんなメンバーなんですか?

西井  弦楽器のオーダーがあったので、今回女性ばっかりなので、私どうしてもバランスをとりたくなっちゃって、女の人のつくっている舞台空間に、姿は見えないけれど男の人の音を入れたら自分的に安心すると言うか、偏りのある世界なんだけど、でもどっか別の世界かもしれないけれど、向こうでこういうものがあるっていうのが欲しくて、男性の演奏家にビオラとチェロで二重奏にしてものすごい音をつくれたらいいなと。

酒井 ビジュアル的にめちゃ素敵じゃないですか(笑)

西井  見た目も素敵なんですが、たぶん音でもすごくいろいろやってくれるタイプの人たちで。

酒井 武骨さみたいなものはキーワードで、今回はスタジオタイプの空間なので、前作の『難聴のパール』の会場(YCC)のように色気のある空間ではないから、そのそっけなさも演出に取り込んでしまうようにしたいかなって思って、その音楽で男性のっていうのはいいかもしれないですね。

西井  そして、続きがあって、音楽側の彼女たちみたいなものが欲しくて、私のバンドのFALSETTOSに声をかけて、

酒井 超素敵ですね!

西井  男女のそれがどうってわけではないんだけれど、私の中で配置したのは女の子たちだけで、私たちのやっている音楽がわりとざらざらしてたりぐちゃぐちゃしてたりぶっきらぼうだったり、女の人のコントロールされてない部分を含んでいるって自分で思っていて、そこを女の人の力で表せたらいいなとか、そこを身体の方からひっぱり出せるような音づくりをできたらと思って、ちょうどいいんじゃないかと声をかけてみました。

酒井 ありがとうございます。私、お会いしたことはないんだけれど、楽しみにしています。

西井  彼女たちもすごく楽しみにしています。

酒井 そう言っていただけると嬉しいし、だからこそダンスをがんばっていかなければ。

西井  はい、がんばりましょう!