急な坂スタジオ、のげシャーレ、STスポットが各館連携のもと、総合的にアーティストをサポートする創作支援プログラム「坂あがりスカラシップ」。公募により、2011年の対象者に選ばれた藤田貴大(マームとジプシー主宰、劇作家・演出家/昨年度より継続)、木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰、演出家)、白神ももこ(モモンガ・コンプレックス主宰、振付家・演出家・ダンサー)の3人が集まり、急な坂スタジオ・ディレクターの加藤弓奈も交え、座談会を行った。同世代の演出家同士という気安さからか、普段はあまり語られない胸の内が、ぽんぽんと飛び出す座談会となった。
目次
藤田貴大(マームとジプシー主宰・劇作家・演出家)
1985年生まれ北海道伊達市出身。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻。
2007年マームとジプシーを旗揚げ。以降全作品の作・演出を担当し、横浜を中心に演劇作品を発表。象徴するシーンのリフレインを別の角度から見せる映画的手法が特徴。また、役者が本来持つパーソナリティーや役者自身の質感を作品に大きく反映させ、舞台上で生まれるリアルなドラマを作品に組み込んでいる。2010年6月坂あがりスカラシップ2010対象者として選抜される。
マームとジプシー
『LEM-on/RE:mum-ON!!』
2012年3月29日(木)-31日(土)/元・立誠小学校(京都)
木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰・演出家)
1985年生まれ。京都造形芸術大学大学院 芸術研究科芸術専攻(博士課程)在籍。
小学校3 年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時にその日から独学で落語を始める。古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学び、古典作品上演の演出や監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を立ち上げる。木ノ下歌舞伎では『四・谷・怪・談』(06 年10 月・作:鶴屋南北)、また「菅専助−見知らぬ作家−」として『摂州合邦辻』(08 年12 月)、『桂川連理柵』(09 年6 月)、『伊達娘恋緋鹿子』(09 年10 月)を演出し、本作品はF/T09 秋「演劇/大学 09 秋」でも再演され話題を呼んだ。最近の演出作品に『俊寛』(10 年10 月・作:近松門左衛門)がある。また、古典芸能に関する執筆、講座なども精力的に行っている。
木ノ下歌舞伎
『三番叟/娘道成寺』
2012年2月17日(金)-20日(月)/のげシャーレ
白神ももこ(振付家・演出家・ダンサー)
1982年生まれ、東京都出身。桜美林大学卒業。
幼いころよりバレエを始めるが、とくにぱっとしないまま今に至る。
2005年、ダンス・パフォーマンス的グループ モモンガ・コンプレックスを旗揚げ。これまでの全作品の振付・演出を担当している。
このほか、ままごと「わが星」をはじめとする演劇作品への振付提供や、音楽ライブへダンサーとして出演する等、活動は多岐に渡る。近年は岡崎藝術座の神里雄大氏とのユニット鰰[hatahata] としても活動している。
現在、演劇情報誌シアターガイドにて「憧れなんて、無責任なものだわよ。」連載中。
モモンガ・コンプレックス
『ご多分にもれず、ふつう。』
2012年3月16日(金)‐21日(水)/STスポット
横浜でやるということ、京都でやるということ
加藤弓奈(急な坂スタジオディレクター、以下、加藤) 今日は「坂あがりスカラシップ2011」対象者の皆さんにお集まりいただき、普段公演をする時に悩んでいることとか課題に思っていること、「つくること」や「見せること」になどについて、ちょっとリラックスした感じでお話できたらなと思っています。また、木ノ下君は昨年から<京都×横浜プロジェクト>を立ち上げ、京都と横浜の二都市で公演を行っていて、昨年12月には偶然にも白神さんが演出で参加した『夏祭浪花鑑』をSTスポットで上演したばかりです。藤田君は3月に京都でスカラシップ対象公演『LEM-ON/RE:mum-ON!!』が決まっている、という状況で、京都と横浜という二つの都市の共通点や違いなどについてもお話できたらなと思います。
木ノ下裕一(以下、木ノ下) 場所、という点で、白神さんは昨年、『夏祭〜』のために京都で滞在制作してくださいましたが、京都はどうでしたか?
白神ももこ(以下、白神) 1カ月半くらいいたんですけど、楽しかったです。
藤田貴大(以下、藤田) 『夏祭〜』の稽古を、僕、京都で観たんですよ。立誠小学校の下見に行った時に寄ったんだけど。もともと、僕、白神さんの大学の後輩で、モモンガが横浜で旗揚げした時に看板持ちしたくらい、昔からの知り合いなんだけど……。
白神 そうなの。よく手伝ってくれて。横浜といえば藤田君だったよね。
藤田 僕も白神さんっていうと横浜ってイメージだった。そういうこともあって僕が横浜を選んだりしたっていうこともあるんですけど、その白神さんが京都にいるっていうのはなんだかすごい不思議だったし、不思議というか横浜みたいだった。
白神 ああ、でも芸セン(京都芸術センター)って横浜みたいだよね、おしゃれ具合が。
木ノ下 そうかもね。
藤田 でもね、出てる子たちがヤバかった(笑)。
全員 (笑)
加藤 東京の役者さんとかダンサーさんとかとは違う?
白神 違うと思いますね。東京の人のほうが、なんていうかスマート。バーッと出す、というよりは引きながら抑えて出すというか、出し方の距離感がある。
木ノ下 ふぅん。
藤田 稽古1回しか観てないけど、すごくノイズだらけですよね。
白神 うん。ノイズをカットしていい具合で居ようとするのが関東の俳優。でも京都の、というか関西の俳優は全部出しちゃう。まあ、あの座組がそうだったのかしら。
木ノ下 白神さんもそういう人やしね。“全部出せ!”みたいな(笑)。でも俳優から出て来るまで時間がかかりましたね。
白神 そうですね。
木ノ下 僕は京都造形芸術大学出身なので、造形大界隈の役者との付き合いが多いんだけど、まあ考え込む役者が多い。苦行僧か!ってくらい(笑)。関東の役者とは『勧進帳』(10年)で一回やっただけだけど、もっとつくることを楽しもうとしてる感じがする。だから白神さんのように、稽古場でいきなりにらめっこの稽古を始めるとか(笑)、いい刺激だった気がする、京都の役者にとっては。
白神 「そのにらみは負けてる!」とか「背中が空いてる!」とかね。
藤田 全然見てても分からなかったけど(笑)。その後に、すごいもやもやした状態で深夜バスに乗らなきゃならなくて(笑)。
加藤 急な坂でもわりとよくありますけど、稽古場に同世代のほかの演出家が見に来るっていうのは緊張します?
白神 緊張します。『夏祭〜』の時は、背後で(杉原)邦生(『夏祭〜』に美術スタッフとして参加)と木ノ下君が稽古中にぼそぼそって話してて気になって気になって!
木ノ下 たいした話はしてなかったんだけどな。「いつ休憩かな」とか……。
全員 (笑)
藤田 僕は基本的に稽古場を見ていいってことにしてて、最初は緊張してたけど、最近は全然しなくなった。
白神 確かに、見られるようになったらそれなりに慣れるね。モモコンだと、稽古中はお客さんの反応が読めないことが多すぎてみんな疑心暗鬼。本番になって「ああ、大丈夫なんだ」って安心することがよくあるんですけど、普段から稽古を見られてるとそれはなくなるね。
木ノ下 人の稽古場って面白いよね。藤田君の稽古場をのぞかせてもらったことがあるんですけど、すごく刺激を受けましたね。
藤田 ぴりっぴりしてた時ね!
木ノ下 怖かった〜(笑)。
白神 どんな感じなんですか?
木ノ下 まずね、机の上に藤田君のありとあらゆるものが置いてあるの。
加藤 家みたいになってるんですよ、スタジオの中が。
木ノ下 そう!
藤田 なんかジンクスで。ゴミとかも片付けようとするとやめて!って(笑)。
白神 演出も細かいの?
木ノ下 細かい細かい。あれは半分、多分自己演出だと思うけど、本当にキレちゃうからね。
藤田 いや、本当なんですよ。怒鳴っちゃうの。
白神 えー!
木ノ下 「ちげーよ、そこ!」とかって通しでブツブツ言ってて。でもあそこまで俳優を追いつめるってすごいなって。木ノ下歌舞伎は俳優の機嫌をとってることとかあるからさ。
藤田 そうなの!?
木ノ下 いや、やってるのが歌舞伎だから、俳優の興味が持続するような雰囲気を作るのは大変なんだよ。
藤田 励ますんですか?
木ノ下 励ますっていうか、ちゃんと、言う。「こうしてこうしたらもっといいと思うんやけどな。……そうそう! それそれそれ(拍手!)」とかって。
藤田 エラい〜! 稽古中、泣き出す子は確かにいっぱいいるけど、僕は一回泣き出したら10倍泣かせちゃうもん。
白神 私、泣いたら笑っちゃうなあ。「たかが稽古で、なんで泣いてるのお〜?」って。
加藤 それ、ある意味追い込んでるんだよ(笑)!
全員 (笑)
藤田 京都でも他の演出家や振付家が稽古を見に来たりするんですか?
木ノ下 京都は来ないね。人の稽古場を見るっていう文化がない。「よかったら稽古場来て」って言わないもんね。人の芝居も見ぃへんし、京都は密室で作ります。
白神 土地柄みたいなものかもしれないですね。
木ノ下 まあそれはそれでいいかもしれないけど、風通しはよくないわな。なんだか行き詰まる感じがして、だから<京都×横浜プロジェクト>を立ち上げたわけで。
白神 京都の密室で作ってもサンバになっちゃうこともありますけどね。
藤田 それは白神さんだけだよ(笑)!
STスポットは手強い空間?
藤田 白神さんて、ずっと野外でやる人ってイメージがあったんですよ。でもキラリ☆ふじみで劇場を回るツアー作品をやってた時に、屋内と屋外の両方を使ってて、屋内にも興味があるんだと思った。
加藤 私も当初、モモンガ・コンプレックスに対して、横浜ダンス界隈とか、外で踊っている印象があったんだけど、坂あがりスカラシップに応募があった時に、「もしかして屋内でやってみようと考えてる時期なのかな。それなら劇場の、小さな空間で密度の高い作品を作る期間を取ってほしいな」と思ったんですね。今度はSTでモモンガコンプレックスの新作をつくってもらいますが、作品に対してイメージはありますか?
白神 今回『夏祭〜』をやって気づいたんですけど……私意外と、題材があったほうが得意だなって。
藤田 え? マジで?
木ノ下 ここに来て(笑)?
白神 コンテンポラリーダンスをやり始めてから自分の表現みたいなのを考えるようになって、これまで奇跡的に作品ができてきたんですけど、でもストーリーがあるのは結構得意っていうか、好きだなって。ただ『夏祭〜』は設定を考えなきゃいけないのが苦痛というか大変だったので、自分の作品では設定を考えずに、どれだけできるのかを探りたいな。ちょっと意味が分からないかもしれないけど、それもいいかみたいなって。あと、これまで空間を埋めるために周りのものに頼っていろいろやっていた部分があったんだけど、もっと振付を考えたいなって。藤田君の作品はすごく濃密じゃないですか。どうやってつくってるの?
藤田 うーん、僕はSTでやったのがすごく大きいな。STは狭いって一言では片付けられない空間で、すごく嘘がつけないですよね。客席と地続きだし。
白神 動揺も伝わるし。
藤田 客席を組んでも、舞台を上げても(高くしても)やっぱりフィクション度が薄いっていうか、生身と生身がぶつかっちゃう。繊細って言葉が合ってるか分からないけど、怖かった時期があるんですよ、STって空間が。でもSTでやったおかげで、どんどん自分の劇に嘘がなくなっていった感じがあるんですよね。そんなかなり油断できない空間だから、僕の中で“一秒一秒作っていく”っていう作り方が生まれた感じ。
木ノ下 STって白壁でしょ。白はアラが見えるよね、作品のアラが。白神さんが「白は批評性がある」って言ってたけど、確かに黒壁だと “ユルさ”に見えたものが、白壁だと“雑”に見えるの。
藤田 木ノ下さんは次、のげシャーレでやるんでしたっけ?
木ノ下 うん。
加藤 『勧進帳』を観た時に、実はSTじゃちょっと小さいんじゃないかと思って、試しにのげシャーレでやってみたらどうだろうって言ったんです。新しい小屋に挑戦するのって、完全な自主公演だとなかなかできないじゃないですか。劇場って目に見えてお金がかかるし。だったら坂あがりスカラシップはそういう不安を解消できるといいなと思って。
“分からない”を楽しむ
藤田 さっきの原作の話ですけど、最近考えてることがあって。例えば僕、次に梶井基次郎の「檸檬」をやるんだけど、舞台の上で流れる舞台時間と小説を読んでる小説時間というのは明らかに違っていて、小説時間をそのまま舞台にあげるのは絶対に不可能だと思ってて。だから小説を舞台にあげるには、ただ物語をなぞるということじゃなくて、かなり変換が必要だなと思うんですね。例えば檸檬を手に取った、その瞬間だけをやることが舞台時間には一番適しているかもしれない。っていう話と、例えば僕が苦手なコンテンポラリーダンスって、すごい説明的な顔とかしながら情感豊かに踊ってて、“そんな悲しそうな顔をするならもうしゃべって”って思うようなのなんだけど、僕が演劇をやってるからかもしれないけど、身体表現を観た時に物語ができてきちゃう感じがするんです。これってどうなんだろうっていう話を前に白神さんとしたことがあって、その時の白神さんの回答は「物語なんて必要ない」ってことだったと思うんですけど、それって一体どう思いますか?
白神 うーん……物語が背景にあるのはいいと思うんです。でも誰もが知ってるようなお話じゃなくて、『夏祭〜』みたいに、まずはストーリーが分からないと何も伝わらないものもあると思う。だからストーリーを追わなくていいよっていう場合と、追って観ないことには最後につながらない場合があるかもしれないなって。
私、ソロダンスを観るのが大好きなんです。全然分からないんだけど、でもその人にとっては何か絶対的な理由があって、なんかここでやっぱり逆立ちしないと収まらないんだろうな、とかって思うと、知らない民族の儀式を観ているみたいな気持ちになって(笑)。逆に何かを伝えようとされると「ふーん」って思っちゃう。
藤田 そう、だから観てる方としては、「それ、いくらやられても分からないよ」ってところでいいと思うんですよね。ただ演劇は、分からないことを分からせようとすることもできるじゃん、言葉で説明できるし、というところで悩んでるんだけど……。
木ノ下 その流れで言うと、歌舞伎はストーリーが分かるとなんだか分かったような気分になっちゃうけど、能はストーリーも特別ないでしょ? でも能役者は圧倒的な必然があって動くわけで、観客はそこに圧倒されちゃう。古典芸能ファンの中には“テキストの新しい解釈を見たい”っていう人も居てさ、よく間違えて木ノ下歌舞伎を観に来たりして、「なんら解釈に斬新さがない」って言われたりするんやけど(笑)、テキストとしての解釈がどうこうっていうのは、もう終わった感じがしていて。というか、それよりも歌舞伎の身体を含めた歌舞伎を、白神さんが現代の身体で紐解くっていう、そのことのほうがずっと面白いと思ってて。あと、さっき藤田君が言ってたコンテンポラリーのやたら説明的なやつって、古典芸能でいうと、その最たるものが新作舞踊ね。まあくだらんね。
全員 (笑)
木ノ下 源平の合戦とかをテーマに、殺し合うことの空しさを顔全面で表現したりするんだけどさ、興醒めね。だってさ、源平の合戦とかリアリティーがないもん(笑)。普遍性とかっていうけどさ、そもそも何百年も前の話をなぜ今しなきゃあかんの?って話で。でもそこを淡々と踊られると、かえって近く感じたりして。距離を考えるっていうか、“そもそも遠いよ、題材は。遠いし虚構ですけど、でもやってるパフォーマーに必然があれば、何か見えてきませんか”ってことで。でもまあ、分かることがいいことっていうか、分かりたい人はいるよね。
藤田 分かるかどうかは、演劇では特にシビアですね。
加藤 分かる分からないというのがそもそも私にはよく分からなくて。分からないって言う人は、いったい何を分かりたくて観に来たんだろうと思うんです。いま三人は、それぞれ自分にとって必然性があることを舞台でやってるわけで、それを分かる分からないで片付けられるのはやっぱりナンセンスだと思うんですよね
藤田 そもそも分かることを舞台でやってどうなのか、ということもあるよね。まったく分かることもあるじゃないですか、食べたらこの味が分かるとか。みたいなことはやりたくない。僕が弓奈さんに再三言われて来たのは、分からなくていい、そのままでいいんだよってことで。このスカラシップは、とにかく試して行く場、もがく現場をつくってくれてると思う。その点、今回の対象者はアツいなと思う。よく言うみたいに「演劇人同士でも分かり合えないよね」っていうニュアンスとは違って、舞台という共通点はあっても、そもそも三人ともジャンルが違うし、考え方とかアウトプットの仕方も違うから分からない、それが面白いと思ってて。スカラシップ対象公演、絶対三本とも観た方がいいと思うんですよね。別にマームを観にわざわざ京都まで行く必要はないかもしれないけど(笑)。
白神 観に行くよ〜。
木ノ下 行くよ、って僕は京都に住んでますけど(笑)。
横浜は不思議な場所
加藤 今後に向けて、木ノ下さんがいまやってみたいことは?
木ノ下 書き換えに興味があるんですよ、いま。これまで古典の言葉をそのまま使う演出が多かったんですけど、今回白神さんと、書き換えまでいかないけど即興で役者が現代語化したせりふを取り入れてやるっていうのをやってみて。言葉が違うと世界観が違うじゃないですか。そのへんのことがうまくできへんかなって。それを僕ではなく、劇作家が翻訳するっていうね、それがちょっと興味がありますね。
加藤 白神さんは新作に向けてオーディションをします。
白神 屈強な人がいいな(笑)、健康な人が!
加藤 藤田君は3月に立誠小学校をまるごと借りて、『LEM-ON/RE:mum-ON!!』を上演します。
藤田 僕はとにかく京都に行くことが楽しみで。東京から逃げることばかり考えてるから、今(笑)。まあその前にいわきの高校生とやる作品があったり、TPAMに参加したり全部楽しみなんですけど。
木ノ下 京都はいい意味で情報が入ってきいへんね。
白神 そうだね、離れ小島みたいな感じで。
加藤 横浜も東京の情報は入って来てはいるんだけど、ちょっと消費スペースと離れているというか、あんまり気にならなんだよね。すごく不思議な場所。東京ほど爆発的に人が来るところではないけど、来たら割とゆったりした気持ちで、本気で作ってる人たちの作品が見られる、近年、そういう場所になってきたよね。
白神 不思議なのは、地方の人は東京に行くのに、東京の人は横浜にすら来ないよね。東京は海外の作品も来るし、手の届くところになんでもあるって感じなのかな。飢えないっていうか。
加藤 でも、飢えないのと満たされているのはまたちょっと違うからねえ。
藤田 東京のアーティストがこぞって東京を出て行けばね(笑)。あれ、東京で何にもやってない!みたいな。
全員 (笑)
藤田 実際、そういう時期が時々ありますよね。横浜にみんなが集中してる時。
加藤 まあ、それを声高にアピールしないのも横浜なの(笑)。
(2011年12月18日 STスポットにて)取材・文=熊井玲