連続トーク企画『「ころり」を巻き戻す。』

継続的な創作活動を実現するには?
クリエイションチームによる連続トーク開催します!

「つくる」プロセスには、リサーチ、クリエーション、観客を交えた公演の機会はもちろんのこと、日々のトレーニングや稽古、そして各々の生活という日常的な時間や記憶の積み重ねがあります。それらはどのように交わり、次の創作へつながっているのでしょうか。

この連続トークでは、2022年5月にKAAT神奈川芸術劇場で、オープンスタジオ期間を経て上演された、DaBY/SandD 小㞍健太+森永泰弘『ころり』をひとつの検証ケースとし、クリエイションチームによる3回にわたるディスカッションとデモンストレーションを通して、「つくる」プロセスの巻き戻しと解体を行い、この作品について振り返りをしながら、今後の作品創作の糧となるアイディアを紡いでいただきます。

なかなか見ることのできない、上演と次の創作の間の出来事。
創作の種を産み出す瞬間に立ち会ってみませんか?

オンライン参加も可能ですので、是非ご参加ください!

『ころり』を巻き戻す。ー小㞍健太

SandDでは、フリーランス・アーティスト(ダンサー、振付家)の継続的な創作活動を実現させることと共に、プロジェクトに関わるアーティスト、スタッフ、技術者にとって効果的な活動をチームとして模索することで、現在の⽇本における創作環境を提案していきたいと考えています。

⽇常のトレーニング、稽古、リサーチはもちろんのこと、クリエーションと公演の実施などの発表の場を設けることも活動にとって必要不可⽋です。しかし⽇本の舞台芸術の創作環境では、公演実施における資⾦⾯の負担は⼤きく、またフリーランスの個⼈アーティスト(ダンサー)が⽀援を受けられる制度が少ないなど、厳しい環境であるのが現状です。このような状況下で活動を継続させていくために、「つくる」ということをアーティスト、技術者、スタッフ、観客と共に「振り返る」というプロセスを持つことで、創作における理解と課題を共有します。

振り返りの題材は、2022年5⽉に発表した、DaBY/SandD小㞍健太+森永泰弘『ころり』。
作品コンセプトをどのように「⾝体」に落とし込むことができるのかということは、私にとって常に、作品を構成する上での課題で、近年それらをつなぐ重要な要素は、「音」との関係性であると考えています。
DaBY/SandD ⼩㞍健太+森永泰弘『ころり』では、その場にいるわたしたち⾃⾝(実演者と観客)が、⾳を聞くことに集中する⾝体と時間を構想することを作品の軸とし、「風情」を作品のテーマとして掲げまし
た。

あくまでもわたし個⼈のテーマとして出発した「⾵情」を、この作品のクリエーションでのプロセスとパフォーマンスを通して、関わったダンサー、アーティスト、技術者がどのように受け⽌め、気づきを得ていったのか。その視点を、ディスカッションとデモンストレーションを通して共有し、分析する機会をつくることで、より深く思考し、今後の作品創作の糧となるアイディアを紡いでいきたいと考えています。

開催概要

日程|
●DaBY/SandD 小㞍健太+森永泰弘『ころり』映像上映
急な坂スタジオ内で映像上映を行います。ぜひイベントの前後にご覧ください。
4月9日(日)13:00 -14:30
※上映会の日程を追加しました!(4月6日(木)更新)
※予約不要です。お好きな上映時間にご来館ください。(上映時間90分)
※館内でのマスク着用にご協力ください。

●空間の巻き戻し。〜環境音を聞く場所をつくることからはじまった〜
3月18日(土) 11:00 -12:30

⼩㞍健太(振付家・ダンサー)、佐々⽊⽂美(セノグラフィー)、⻘柳潤(DaBY/ダンサー)

●音の巻き戻し。 〜記憶された音を探して〜
4月2日 (日) 11:00 -12:30

⼩㞍健太(振付家・ダンサー)、中原楽(⾳響デザイン)、畠中真濃(DaBY/ダンサー)

●身体の巻き戻し。〜音に反応する身体、意識と無意識のバランス〜
4月9日 (日) 11:00 -12:30

⼩㞍健太(振付家・ダンサー)、佐藤琢哉(ダンサー)、畠中真濃(DaBY/ダンサー)、⻘柳潤(DaBY
/ダンサー)

ナビゲーター︓加藤⼸奈(急な坂スタジオ)、⼩森あや(プロジェクトマネージャー)

DaBY/SandD 小㞍健太+森永泰弘『ころり』について

ダンサー・振付家の⼩㞍健太を起点として2017年に始動した、他ジャンルのアーティストとリサーチやクリエイションを⾏うプロジェクト「SandD (Project “Surface and Destroy”) 」。 近年は、サウンドアーティストの森永泰弘との協働から創出される⾝体表現を軸に、様々な分野からアーティストを迎え⼊れ、作品の制作を⾏っている。⼩㞍と森永が、横浜・⾺⾞道にある「Dance Base Yokohama (DaBY) 」において、レジデンスダンサーと共に⾏ってきた、ProLab「Closed Research」(2020)やProLab for Dancers「ダンサー育成プログラム」(2021)でのリサーチやクリエイションで積み重ねた知⾒を元に、⾝体表現と環境との関係性のより幅広い展開を⽬論み、KAAT神奈川芸術劇場の中スタジオを舞台に公開クリエイションに挑んだ。

記憶を呼び起こすパフォーマティブ・インスタレーション


photo by momoko japan

作品タイトルの「ころり」は、オノマトペから⽣まれた造語で、物事に魅せられて、現実と想像が転回する⾳のイメージによる擬⾳語。これまでの⼩㞍の創作のベースにある「記憶」を「記録」するというテーマを
もとに、ある場所をおとずれた際に現れる「⾵情」という感覚へアプローチする試み。それぞれのアーティストが観察・収集した「場所/空間」をパフォーマンス空間にもちより、空間からもたらされる感覚と想像を⼿がかりに、共存することがなかった場所たちの再構築を図った。また、オープンスタジオとして、クリエイションの場に観客を招き⼊れることで、⼈間と環境が⾏き来する「パフォーマティブ・インスタレーション」の在りようを導きだすことを⽬指した。
多様化することによりもたらされる社会における⽇常の豊かさの中で、⾝体(ダンス)を通じて、記憶がどのように形成され、空間の中で再構築されるかを、プロセスからパフォーマンスの形式を通して検証した作
品である。
5⽇間のオープンスタジオを⾏い、美術/⾳響/照明による空間作りの過程からダンサーのパフォーマンスまで、クリエイションの様⼦を公開。その後、オープンスタジオでのフィードバックを受けて、3⽇
間にわたり約60分のパフォーマンスを⾏った。

<初演時クレジット>
構成・振付・演出|⼩㞍健太
構成・サウンドスケープ|森永泰弘
出演|佐藤琢哉 畠中真濃(DaBY) ⻘柳潤 (DaBY) ⼩㞍健太
セノグラフィー|佐々⽊⽂美
舞台監督|佐藤 恵
⾳響|中原 楽(LUFTZUG)
照明|森 規幸
グラフィックデザイン|⽯塚 俊
宣伝写真|momoko japan
プロダクションマネジメント|⼩森あや、藤井さゆり(bench Co.)
Dance Base Yokohama
アドミニストレーション|宮⽥美也⼦
PR|⽥中 希
テクニカル|飯塚⼤周
企画 | SandD
主催・製作|Dance Base Yokohama、SandD
提携|KAAT神奈川芸術劇場

トーク参加者プロフィール

小㞍健太/Kenta Kojiri

振付家・ダンサー。1999年ローザンヌ国際バレエコンクールにてプロ・スカラシップ賞受賞後、渡欧。イリ・キリアン率いるネザーランド・ダンス・シアターⅠに⽇本⼈男性として初めて⼊団。2010年よりフリーランスとしての活動を開始し、ソロパフォーマンス『Study for Self/portrait』、⼩㞍健太+森永泰弘『ころり』等の創作を軸に、国内外の公演に出演。2017年より、アーティスト、研究者、技術者とリサーチやクリエイションを⾏う「SandD(Project“Surface and Destroy”) 」を始動し、ジャンルや世代を横断した舞台芸術におけるダンサーの⾝体の在り⽅を探求している。他、オペラやミュージカルの振付、さいたまダンス・ラボラトリ講師/ナビゲーター、フィギュアスケート⽇本代表選⼿の表現指導、Dance Base Yokohama、穂の国とよはし芸術劇場PLAT にてレジデンスアーティスト等、活動は多岐にわたる。

SandD ( Project“Surface and Destroy” )
2017年よりダンサー・振付家の⼩㞍健太を起点として始動した、他ジャンルのアーティストと協働リサーチやクリエーションを⾏うプロジェクト「SandD (Project“Surface and Destroy”) 」。近年は、サウンドアーティストの森永泰弘と⼩㞍健太の協働から創出される⾝体表現を軸に、様々な分野からアーティストを迎え⼊れ、⽇常⽣活における実践や⾏為から導きだされる、⽣きるための「技術」をテーマに据えた作品の制作を⾏っている。ダンスという枠組みを超え、「つくる」ことの融合と解体を図りながら、⽇常と舞台空間を⾏き来するような可能性に開かれた場を、世界各地で創出することを⽬指し活動を展開している。近作に、『The Threshold』(ゲーテインスティテュート東京 / 2021)、『Dialogue』(Dance Base Yokohama / 2021)、DaBY/SandD ⼩㞍健太+森永泰弘『ころり』(KAAT神奈川芸術劇場/2022)がある。

佐々木文美/Ayami Sasaki

快快(FAIFAI)/セノグラファー。1983年⿅児島県出⾝。快快の活動に加えて、舞台美術・セノグラファーとして演劇、ダンス、コンサート、展⽰など様々な企画に参加。近年の参加作品として、快快『ルイ・ルイ』(神奈川芸術劇場・2019年)モモンガコンプレックス『わたしたちは、そろっている。』(東京芸術劇場・2020年)、セノ派『移動祝祭商店街』(2019-2021年)、東京芸術祭FTレーベル『セレモニー』、快快『コーリング・ユー』などがある。ホームパーティーをするのが好き。

中原楽/Raku Nakahara

サウンドエンジニア。洗⾜学園⾳楽⼤学 作曲専攻シンセサイザー科卒業。
スピーカーメーカー、⾳響会社を経て、2015年ルフトツークにて⾳響事業部設⽴。多分野にわたり独⾃の⾳響空間を構築。フジロックでもサウンドデザインを⼿がける。

佐藤琢哉/Takuya Sato

岡⼭県出⾝。7歳からクラシックバレエを始め、河和のり⼦に師事。2004~06年、オランダ王⽴ハーグ・コンセルバトワールにバレエ留学。帰国後はフリーとして活動。2014~16年、Noism1に在籍。2022年までOrganWorksに所属。DaBYオープニングイベント平原慎太郎「えんえん」トライアウト参加。⼩㞍健太+森永泰弘『Dialogue』『ころり』に出演。

畠中真濃/Mano Hatanaka

東京都出⾝。お茶の⽔⼥⼦⼤学舞踊教育学コース卒業。2020年度よりDaBYレジデンスダンサーとして活動し、⼩㞍健太や鈴⽊⻯、イリ・ポコルニ、ハラサオリなどの作品に参加するほか、踊りや作品のリアリティについて再考する⽬的で、⾃⾝の創作活動も始める。また、⼥屋理⾳や池ヶ⾕奏×藤村港平のプロジェクトにも参加するなど、活動の幅を広げている。

⻘柳潤/Jun Aoyagi

DaBYレジデンスダンサー ⽇本⼤学 芸術学部 演劇学科 舞踊コース 洋舞専攻 在学中。16歳の時、⾼校での部活動で創作ダンスに出会い、踊りを始める。その後コンテンポラリーダンスを⼆⾒⼀幸、⽥保知⾥に師事。第39回秋⽥全国舞踊祭 ジュニア2部に出場し、6位⼊賞とあきたこまち賞を受賞。第19回バレエコンクールIN横浜コンテンポラリー部⾨にて、第1位を受賞。2021年 7⽉ 平原慎太郎 振付『WOLF』出演。10⽉選抜新⼈公演出演。他に、東京2020オリンピック開会式出演。

参加方法|
【オンライン参加】
参加費:無料(予約不要)
急な坂チャンネル(YouTube)でライブ配信します。配信中、質問などはコメントしていただければ、質疑応答の時間でお答えいたします。

終わった配信はこちら!

●空間の巻き戻し。〜環境音を聞く場所をつくることからはじまった〜
3月18日(土) 11:00 -12:30

⼩㞍健太(振付家・ダンサー)、佐々⽊⽂美(セノグラフィー)、⻘柳潤(DaBY/ダンサー)

●音の巻き戻し。 〜記憶された音を探して〜
4月2日 (日) 11:00 -12:30

⼩㞍健太(振付家・ダンサー)、中原楽(⾳響デザイン)、畠中真濃(DaBY/ダンサー)

【オフライン参加(直接会場でトークを聞きたい方)】
参加費:無料(要予約)
定員:10名
会場:急な坂スタジオ(京浜急行線「日ノ出町駅」徒歩10分/JR・市営地下鉄線「桜木町駅」徒歩15分)
※新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力をお願いします。詳しくはご利用案内ページをご覧ください。

オフライン参加申し込み|3月5日(日)10時00分から、以下の予約フォームよりお申し込みいただけます。
※受付は終了いたしました。

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お問い合わせ|急な坂スタジオ
TEL:045-250-5388(10時〜18時)
MAIL:toiawase★kyunasaka.jp

企画・主催|SandD
共催|急な坂スタジオ
協⼒|Dance Base Yokohama